「島耕作」という名前を耳にした事、いや、目にされた事はありますでしょうか。
とある企業で活躍する姿を描いたシリーズの漫画。肩書き+島耕作、というタイトルで「ああ、あの課長で有名な人ね」くらいの認識しか、わたしにはありませんでした。
社長 島耕作 コミック 全16巻完結セット (モーニングKC) | |
![]() | 弘兼 憲史講談社 2013-08-23 売り上げランキング : 12044Amazonで詳しく見る |
しかし最近は営業時間を気にして本屋さんに駆け込んだり、重い単行本や文庫本を持ち歩かなくても気軽に本やコミックが読める時代。電子コミックという文明の恩恵に授かって一気に読みあさりました。
島耕作シリーズでは、前提はフィクションとなっているのですが、社会情勢や会社組織の仕組みなど、もろもろ現実社会のことが反映されています。会食やデートなど、島氏の食事シーンには、なんと実在するお店も出てくるのです。これが食いしん坊的お楽しみになっています。
とある回で、「駒形どぜう」という浅草にある老舗のどじょう屋さんが出てきます。
年季の入ったお鍋に姿よく並べられたどじょうを火鉢で煮込む、風情と一緒に風味豊かなどじょう鍋が食べられるお店です。
食べる時にそれはそれはたっぷりのおねぎを加えます。
もうその相性たるやミッキーとミニーが離れられないくらいの熱々ラブラブっぷりです。
お好みで、ささがきごぼうなどのオプションもあったりします。どっさり。
もう間違いのない組み合わせ。
どじょうの滋味がぎゅうっと溶け込んだおだしが沁みたごぼうのおいしいことったら・・・
日本酒の熱いのできゅっと決めればもう完全に島耕作氏(わたしは女性なので大町久美子さん)の気持ちになれることでしょう。
ちなみに駒形どぜうは、島耕作の世界では恋人「大町久美子」とのデートで登場しました。
島氏はこのお店でばったり大学の同級生に会います。共に学んだかつての仲間が苦しく貧しい人生を送って来た現実を目の当たりにし、二人は少しさみしい気持ちになりながらお店をあとにします。
後日、島氏は大町さんとうなぎを昼食に食べます。そのうなぎの華やかさは生活に苦しむ同級生の人生との対比がなんとも強く、また切ない気持ちになるのです(といっても、当時と違って今はどじょうも高級魚の部類ですけど!)。
駒形どぜうは、老舗でありながらどこかカジュアルでほっとする雰囲気があります。滋養を感じる独特のどじょう鍋は、人生の深みを語る背景としてベストシチュエーション。ぜひ大切な人と足を運んでみてはいかがでしょうか。