神奈川県の三浦市といえば特産品の「三浦ダイコン」で知られていますが、実はその生産量は地域で収穫される大根の1%程度に過ぎません。 三浦の大根作りの歴史は古く、江戸時代の前半にすでに作られていたと言います。葉に近いところまで白い白首大根の一種で、東京の練馬大根との交雑種です。
現在でも正月用の食材としてナマスなどに用いられ、その時期になると関東近県のスーパーでも見かけます。そもそも煮崩れしにくいため、煮物などに向いており、こだわりのおでん屋では三浦ダイコンとブランド表記している場合もあります。
ただ、先に向かって太くなる品種のため、抜きにくいという弱点がありました。1979年、三浦半島に大きな台風が押し寄せると、三浦ダイコンは甚大な被害受けてしまいます。
これをきっかけとして、三浦ダイコンは主役の座を青首大根に奪われます。青首大根は、西側からやってきた成長の早く三浦ダイコンよりも育てやすい大根で、先細りの抜きやすい形状をしています。
いわゆる現在の一般的な大根のことで、国内流通の約9割はこの青首大根と言われます。上部が土の上にせりだすため葉緑体によって青みがかっているのが特徴。
複数交雑による雑種で病気に強く、収穫期を過ぎてしまっても”す”が入りにくいので、あっという間に栽培する農家が増えました。
こうした三浦の地で品種改良によって生まれたのがレディーサラダ。海外品種とかけ合わせたサラダ専用の大根です。外側だけ赤身の強いピンク色で中は白いため、サラダに彩りを加えやすい食材と言えます。
また、皮にアントシアニンを多く含むので、もしかすると美容にもいいのかもしれません。
ちなみに大根は英語ではRadishですが、種自体は海外でDaikon という品種で知られています。このため White RadishをDaikon radish と呼ぶ場合もあるようです。