さっきからロイヤルロイヤルうるさい
何となく電車に乗って終点駅の知らない街にやってきた。特に用事はなかったけれど、せっかく来たのだからどんな場所か見てやろう。そんなつもりでいた。 改札を出ると目の前に小さなフードコートがあった。軽食のテ…
何となく電車に乗って終点駅の知らない街にやってきた。特に用事はなかったけれど、せっかく来たのだからどんな場所か見てやろう。そんなつもりでいた。 改札を出ると目の前に小さなフードコートがあった。軽食のテ…
午前中の仕事を終えて、お昼ごはんを求めて街に出た。自転車にまたがると、すぐに公園で遊ぶ子供達の声が聞こえてきた。 日があるうちは暖かいが、日陰は寒さが気になる。すっかり秋めいてきた。そんなことはお構い…
深夜の立ち食いそば屋は、おばちゃんがネギを刻む音とラジオの音だけが聞こえた。音の邪魔をしないよう「春菊、そばで」とだけ伝えた。 そこへ道路工事の警備をしていた小柄のおじいさんが入ってきた。 おじいさん…
深夜の立ち食いそば屋は、おばちゃんがネギを刻む音とラジオの音だけが聞こえた。音の邪魔をしないよう「春菊、そばで」とだけ伝えた。 そこへ道路工事の警備をしていた小柄のおじいさんが入ってきた。 おじいさん…
ジョナサンとの出逢い 「アサマ、高等教育はどうするつもりだ?」 奉仕労働に入ってしばらく経ったころ、労働監督官に聞かれた。作業は毎日ヘトヘトだったが、いくらかそれにも慣れてきた頃だ。 労働監督官の…
ジョナサンとの出逢い 「アサマ、高等教育はどうするつもりだ?」 奉仕労働に入ってしばらく経ったころ、労働監督官に聞かれた。作業は毎日ヘトヘトだったが、いくらかそれにも慣れてきた頃だ。 労働監督官の…
地獄に堕ちた野郎ども 本当はどこでもよかった。たまたま就職先が「お国」だったもんだから、安定収入の官僚殿なんて冷やかされるが、この国の就業労働人口の約半分は国の関連機関で働いているんだ。とくにほめら…
地獄に堕ちた野郎ども 本当はどこでもよかった。たまたま就職先が「お国」だったもんだから、安定収入の官僚殿なんて冷やかされるが、この国の就業労働人口の約半分は国の関連機関で働いているんだ。とくにほめら…
カフェの隣席でいい大人の息子と母親がもめている。すぐ隣でなくとも聞こえる大きな声だった。 横目でちらちらと確認しただけだからわからないけれど、いい大人の息子は子どもっぽい口ぶりではあるものの、たぶん3…
カフェの隣席でいい大人の息子と母親がもめている。すぐ隣でなくとも聞こえる大きな声だった。 横目でちらちらと確認しただけだからわからないけれど、いい大人の息子は子どもっぽい口ぶりではあるものの、たぶん3…
正直、あまり悩んだことがない。子どもの頃から大きな夢を見たこともなくて、どちらかと言えばノンビリ屋と言われることが多い。気心の知れた友達からは「ノンビリ」ではなく、ボンヤリと言われたし、学生時代の先…
正直、あまり悩んだことがない。子どもの頃から大きな夢を見たこともなくて、どちらかと言えばノンビリ屋と言われることが多い。気心の知れた友達からは「ノンビリ」ではなく、ボンヤリと言われたし、学生時代の先…
テレビの天気予報が夕方から雨になると言っていた。雨になるのはいいが、夕方からの雨に備え、日中ずっと傘を持ち歩くべきなんだろうか。アイスコーヒーの氷が音を立てストローをゆらした。 鈴木祐二はグラスを…
テレビの天気予報が夕方から雨になると言っていた。雨になるのはいいが、夕方からの雨に備え、日中ずっと傘を持ち歩くべきなんだろうか。アイスコーヒーの氷が音を立てストローをゆらした。 鈴木祐二はグラスを…
「ねぇ、これぐらい?」「どれ? あ、そんなもんでいい。もっとデカい方がいいか?」「どうだろ? ま、いいんじゃない」 松男は「まかせる」とだけ言うと、再び玉ねぎのみじん切りに取りかかった。キッチンから…
「ねぇ、これぐらい?」「どれ? あ、そんなもんでいい。もっとデカい方がいいか?」「どうだろ? ま、いいんじゃない」 松男は「まかせる」とだけ言うと、再び玉ねぎのみじん切りに取りかかった。キッチンから…