ヒマを持て余す
家にいないといけないと言われると、思いのほかすることがない。
本を読んだり、映画やドラマを観たり、積極的な学びにつなげようと思うとやる気が起きない。時間ができるとなんだか億劫に感じて、ついつい暇つぶしのYouTubeを観てしまう。
これではいけない。そう思って立ち上がり(ずっとゴロゴロしていた)、とりあえず腹ごしらえしてから「良い子」になろうと決めた。
冷蔵庫には、鍋でもやるつもりで買っておいたひき肉と、これまた鍋に入れるつもりだったワンタンの皮がある。
よし、シュウマイだ。
切って
なお、玉ねぎはいつもある。日持ちがするし応用の幅が広いからだ。
炒めものやスープはもとより、サラダにだって入れられる。シャキシャキを担ってくれることもあれば、甘みやコクを出すにも便利だ。フライにすればまた違った味わいもある。
自分が監督なら、スタメンやベンチ登録が必須のオールラウンドな選手に位置づける。
今回はザクザクと粗いみじん切りに。とりあえずザクザクと適当に。
混ぜて
レシピサイトをざっとみて、だいたいの作り方を知る。調味料のだいたいの分量と割合さえわかれば、おそらくそんなに違わない(と、勝手に思っている)。
ボールにひき肉、片栗粉、粗みじんの玉ねぎを入れる。酒、ゴマ油、塩コショウ、醤油、うま味調味料を適当に。ひき肉料理はコショウをたっぷりいれた方がおいしい。
ビニール袋を手にはめて混ぜていく。片栗粉が入っているのですぐにまとままるはずだ。手の温度が伝わって、ひき肉の粘り気が増す。いい感じだ。
レシピサイトによっては、ワンタンの皮の四隅を少しカットして、肉のアンに一緒に混ぜ込むとあった。今回はそれも試してみる。
包んで
アンができたので、ワンタンの皮で包んでいく。餃子のようにコツが必要ということもなく、なんとなくシュウマイらしい形にしていくだけ。簡単だ。
とはいえ、数をこなしていくほどにシュウマイらしい形になる。やり直せるので、最初の方のシュウマイは後から整えた。
20個くらいできただろうか。同じような形が並ぶとなんだか楽しい。
でも、何かが足りない。そうか、グリンピースか!
グリンピースって
グリンピースを買ったことがない。おそらくあれは豆、しかし八百屋などで見かけたことがない。缶詰やパウチ的なもので売っているのかもしれない。
ただ、買い物に行くのは億劫だ。わざわざ買う程グリンピースが重要だとも思わない。そもそもあれはなんでシュウマイにのっているんだろか。
家にあるもので代用できないか探した。
柿の種に入っているピーナッツはどうか? 硬そうだし却下。
クルトンではどうか? ブヨブヨになりそうだし却下。
想像を巡らし、コーンの缶詰を使うことにした。ちょこちょこと上にトッピングして、たくさんのコーンが残った。
蒸して
鍋に水をはって、蒸し器をセットした。強火にして、沸騰したら中火にかけた。
皮がくっつく可能性があるので、冷蔵庫にあったリーフレタスを敷いて、その上にシュウマイたちを並べた。
できあがるまで、缶詰に残ったコーンを食べた。最初はつまんでいたが、面倒になってスプーンでガツンといくことに。口いっぱいに広がるコーンが楽しい。
フシュフシュと鍋フタの隙間から湯気が溢れてきた。次第にシュウマイらしいにおいが伝わってくる。においにつられて、お腹がどんどん空いてくるのがわかる。
食べる
できたぞ、それらしいできばえだ。グリンピースではないが、それらしい感じがする。
立ちのぼる湯気をみて、一口で食べるのをためらった。経験が内側からやられる、そう伝えてくる。
フゥフゥ、フゥフゥ
少し冷ましてから口いっぱいにほおばった。
旨っ!うんまっ!
アツアツのそれは、ひき肉のジューシーさと玉ねぎのシャキシャキ感も残っていた。プリっとしたワンタンの皮が食感を優しくしてくれている。
幸せだ。
もう読書も映画鑑賞もどうでもいい。ただ、旨い。ただ、シュウマイが旨いだけなのだ。
家にこもるのも悪くない。切って混ぜて包んで蒸して、シュウマイを作ればいいんだから。