people wearing diy masks

緊急事態宣言から2週間、マスなき時代のデジタルメディアとコミュニケーション

緊急事態宣言から2週間の記事

東京に二度目の緊急事態宣言が出てから2週間が経過した。メディアによって報じ方は異なっている。

大幅な減少が見えないとした記事がある一方で、半減したなどと表現している記事もある。

https://www.tokyo-np.co.jp/article/81068/

https://www.jiji.com/jc/article?k=2021012200777&g=soc

https://www.asahi.com/articles/ASP1Q4W0JP1QUTIL02J.html?iref=pc_special_coronavirus_list%25E3%2581%2584%25E3%2581%259A%25E3%2582%258C%25E3%2582%2582%25E4%25BA%258B%25E5%25AE%259F%25E3%2581%25AA%25E3%2582%2588%25E3%2581%2586%25E3%2581%25A0%25E3%2580%2582

いずれも事実なようだ。

宣言発令から半減はしているが、それでも1日あたりの感染報告は1000人を越えている。NHKのサイトで感染推移が確認できる。

https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data/pref/tokyo.html

結果をみて下降しているとするか、高止まっていると見るかはここでは判断しない。それは各自で判断した方がいい。

Googleの予測

なお、Googleの予測では陽性者は2月に入って大きく下がっている。あくまでも予測だが、少し心が落ち着く気がする。

自分の心は、緊急事態宣言が出ても「思ったより減っていない」と感じているようだ。

https://datastudio.google.com/u/0/reporting/8224d512-a76e-4d38-91c1-935ba119eb8f/page/ncZpB?s=nXbF2P6La2M

厚労省のコロナ感染情報、世代別データ

厚労省でもデータを視覚化して状況を伝えている。東京の3カ月推移のデータを確認すると、年末年始で一段と急増している状況が確認できる。

https://covid19.mhlw.go.jp/

ここにあるデータで気になったのは世代別のデータだ。週別の新規感染者データの画像がこれだ。

1月19日更新とあるので、もしかするとこれを読んでいるタイミングでは違った数字になっているかもしれない。最新のデータはリンクから確認して欲しい。

なお、この累積のデータを下に置いた。女性の50代、40代の割合が多少低い。新規陽性者の中でこの世代の割合が増えているのかもしれない。

とはいえ、だいたい同じようなもみの木型。陽性者の世代構成は、現状も大きく変わっていないようだ。陽性者は20代と30代を中心に広がっている。

都知事が言い直したこと

なお、東京都の小池都知事も1月22日の会見で、20代・30代を中心に感染が拡大している点についてあらためて指摘している。

会見では若者向けのデジタル面でのPR策に言及。YouTuberのフィッシャーズとのやりとりもこの施策の1つであると説明した。

また、小池都知事は会見の中で「無症状の若い方が」と一度言ったのを言い直し、若者に限らず無症状者が感染を広めている旨を語っている。

話は結局、何度も繰り返されている1人1人が意識する必要がある、という内容で結ばれているが、世代別データを見れば「若い方が……」と言いたくなるのは、うなづけるところもある。

なぜなら、死亡者は若くない人たちに偏っているからだ。

なお、このデータはこれまでの累積であり、直近の死亡者がこの割合とは限らない。その点は留意いただきたい。

現状では違った割合なのかもしれないが、厚労省のこのサイトでは、東京都の年代別死亡者データは累積でのみ確認できる。

若者世代のメディア接触データ

とくに20代・30代の動きを止めることが、陽性者の拡大を抑えるのに効果がありそうだ。行政側もそこに向けてアピールをしている、という話をした。

では、メディアの接触状況はどうなっているだろうか。

博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が、メディアの定点調査データを公開している。

https://mekanken.com/mediasurveys/

調査は2020年1月と1年前ではあるが、参考にはなるだろう。10~30代の男女において、スマホやパソコン、タブレットといったデジタルメディアへの接触がほぼであるのがわかる。

以下はメディア接触における、こうしたデジタルメディアの割合。調査データの中から足し算しただけだ。100から下の数字をひけば、テレビやラジオ、新聞といったレガシーな媒体の接触割合になる。

【男性】
10代 72.6%
20代 73.0%
30代 64.9%
【女性】
10代 67.3%
20代 64.1%
30代 54.5%

こうしたメディアの接触構成からすれば、行政がデジタルメディアにアピールしたがるのもうなづける。

デジタルメディアの難しさ

しかし、デジタルメディアは「マス」なのだろうか。そんな疑問が沸く。

以前書いたが、今の時代は目を背けたいものから背けていられる。

生きにくさを感じていた人からすれば、そこにポジティブな部分がある。一方で、全員に周知、全員に徹底させることが難しい時代とも言える。

多様性や共生がテーマになる昨今、国をあげて社会全体に共通する大きなストーリーを描くのはかなり難しい時代だ。国に限らず大きなテーマは、いくら頑張っても完全にはグリップせず、どこかすべっている感じが残る。そんな肌感覚はないだろうか。

マスなき時代のコミュニケーション

より個々人にアプローチするためのデータが必要だ。そして、それを分析するためのクリエイティブな知性が必要だ。より好奇心をくすぐる企画力が必要で、より粘り強いコミュニケーション能力が求められる。

より魅力的なストーリーテラーがそれらを語れた時、はじめてマスに届く形になるのではないか。ただ、それはかなり難しいと言わざるを得ない。

大きな物語を語るより、小さな物語を乱発した方が結果として効果的なのかもしれない。コロナ対策においても、大きな物語よりも個々の欲求が充たされるような取り組みが必要なのかもしれない。

コロナのステイホーム訴求で、マスなき時代のコミュニケーションの難しさを感じた。

メディアの編集長と事業責任者と、会社の広報を兼務している老害

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