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2021年前半、この半年で読んだ本たち

Instagramの読書記録を元に、2021年前半(1月~6月)に読んだ本を紹介。好奇心にまかせて読んでいるが、学生時代のように物語はあまり読まなくなった。

自分には特別な才能がない。努力し続けられる秀才でもない。少しでも賢き人たちと会話できるよう、自分の好奇心には嘘をつかずに本を手にしていきたい。

2020年前半、この半年で読んだ本たち
https://note.com/boobyn/n/n0e7adf9115d1

子どものための哲学対話

あらゆる対立は、前提を共有するところでしか起きない。白と黒、右翼と左翼のように。といったような話があって、なんだかとても納得感があった。前提を共有しない関係性において、対立の構造は成り立ちにくい。

そう考えると、なんだか対立にのぼせることがとても空虚に思える。対立のよしあしではなく、熱を上げることがアホらしい感じがする。

この本、なんとなく手にとってみたんだけど、面倒くさそうな哲学の話なのに、触りやすい。帯に川上未映子さんがNHKで紹介した、とあった。

すごいブレスト

KDDIのものづくりの仕事でご一緒させていただいた石井さんの本が出ていた。au未来研究所という座組で、定期的にハードウェアハッカソンをやっていた頃だ。

石井さんは、アイデアを量産する方法を研究するプロ中のプロだ。アイデア出しが体系化されていて、頭のクセをつけるのにとても良い感じ。一人ブレストのときも、あの頃のアイデア出しのやり方を参考にしている。

書籍ではオンラインでのブレストの方法など、コロナ以降の世界に対応した内容になっている。

好きなことしか本気になれない

自己愛が強くて口当たりのよいタイトル。それが今っぽいなーと思って読んでみた。

内容的には、自分で選択し主体性あるストーリーを築こう、みたいな話。よく言われていることではあるけれど、経営者の書いた本なので当人がそれを実践できている人なんだと思う。

当方、そりゃもう全然実践できていないw 右往左往して後悔して、ずっとそんな感じである。

デジタルマーケティングの定石 なぜマーケターは「成果の出ない施策」を繰り返すのか?

デジタルマーケティングへの余計な期待値を下げ、無駄を省く。著者の非効率なことへの不満がひしひしと伝わってくる本だった。

デジタルは顧客重視ではなく顧客主導。3秒以上の営業トークは誰も見ない。デジタルはコストカットに優れている。その一方で、いろいろ試せるから、無駄な仕事も増やしやすい。

デジタルでメディアをやっていると、内容に共通するところも多いと思った。特に、メディアは顧客主導であることをもっと意識するべきだ。人は見たいものしか見ない時代だ。

いちばん大切なのに誰も教えてくれない段取りの教科書

誰かに貸してどこかに旅立ってしまったので買い直した。よい機会だから読み直してみたが、やはりシンプルで良い内容。すごく役に立っている。

水野学さんの書籍は、シンプルで単刀直入でToDoが明確だ。自分の仕事にはかなり意識している。うちのディレクター陣は広告タイアップなどもなんなくこなす、怪物化を目指している。チームにもっと広げないと。

独居老人スタイル

一人暮らしの老人というと、なんとなく悲哀やうらぶれたものを感じるのではないか? ところが、この本に出てくる老人たちは全然そんなことなくて、我が道を行くオンリーワンな人たちだった。

誰もがみんな我が道を貫きたいはずだ。でも、それは怖いことでもある。彼らはそこに到達するまでにいろいろあったのかもしれないが、少なくとも外から見る分にはかなり「オリジナル」だ。

自分もこうありたい!……なんて思えたらいいのだが、でも全然思わないw ただ読んだあと、自分がさてどうありたいのか、そんなことを考えさせる。レジェンド都築さんのさすがとしか言いようがないコンテンツに脱帽するばかり。

仕事に「好き」を、混ぜていく。 あなたのB面を本業に生かすヒント

読むまで気づかなかったけど、これを必要としているのは電通のように大きな会社で確固たる本業というものがある人なんだと思う。

たぶん、このBチームのようなものに憧れる大企業の人はわりといて、そういう人たちが自社で参考にしながらプロジェクトを立ち上げ

「思ってたのとなんか違う」

と感じるのかなと想像した。

自分のような職業の人間は、本業も副業も、趣味もこれまでの経験もあったもんじゃなくて、非常に属人的なところで商っているんだなと気づいた。

どんな問題も「チーム」で解決する ANAの口ぐせ

異動する上司の置き本の中からもらった。細かいことでも口にできるチームなら、しなくていいエラーを減らせる。そんな趣旨の話が多かった。ANAが本当にこの本のようにできているとしたらすごいことだ。

チェックはダブルやトリプルチェックではなく、あくまでもセルフらしい。その方が頼る気持ちが減ってエラーが減るという。

たしかに自分が入院したときに、スタッフの自発的な動きが一気に加速した。スタッフの成長を促すなら、動画や原稿のチェックに関して、最後に必ず自分が見るのをやめてみるのもありなのかもしれない。

何のために自分がいるのか。それはスタッフの成長のためにいる。危機感は人を強くするし、マイボールの意識が人を意欲的にするのだと思う。

世界一ポップな国際ニュースの授業

直木賞作家の石田衣良さんと、東大の藤原帰一教授が対談形式で国際ニュースを語り合うというもの。帯にあるような2時間で世界情勢がわかるには予備知識が必要だと思う。

ここのところ世界に目を向けたものを読んでなかったので、とても新鮮で面白かった。映画が好きなお二人らしく、端々で映画の話題が出てくる。それが程よいクッションになっていて、バランスがいい対談になっている。

人間タクシーという映画観てみたくなった。

KEEP MOVING 限界を作らない生き方: 27歳で難病ALSになった僕が挑戦し続ける理由

しなやかでとてもかっこいい本だった。難病や障害というと、どうしても悲しみや不幸が前に出がちだか、希望をもってかっこよく変えていこうとする実践者がそこにいた。

かっこいいんだけど、なんか人間くさくもあって面白かった。

武藤さんにはその後、イベントに出演いただいた。すごく刺激的だった。彼は伝えようとする力が、オーラのように身体中からあふれている人だった。

人はかっこよくあろうとすべきだ。さて、自分はどうだろうか? 戦えているだろうか? 

「悪くあれ! 」窒息ニッポン、自由に生きる思考法

言葉が洪水のように溢れて、読み手に「日本よ、目を覚ませ!」と言い続けているかのような本だった。モーリーさんの根底にパンク魂が宿っていて、文章からラジカルでゾクゾクするような感覚を受けた。

モーリーさんとはオンラインイベントでご一緒した。FMラジオでヒリヒリするようなことをやっている人は、もっとずっと怖いのかと思っていた。実際には、ユニークでチャーミングでとても魅力的なおじさんだった。

はみだす力

アーティストのスプツニ子さんの回想録的な本。アーティストとしての不安とか、学生時代の話とか共感する部分が多かった。いつの間にか美大生だった自分を懐かしんでいた。

国内だけに目線を据えると、どうしても変化に鈍感になる気がする。コロナの今、海外は以前よりも遠い場所になった。自身の価値観をゆさぶり続ける上で、本はとても重要なツールになった気がする。

スプツニ子!さんにはイベントでご一緒した。もっと作品の話を聞きたくなった。

挑発的ニッポン革命論 煽動の時代を生き抜け

世界と日本、いろいろな視点から言葉が出てくるモーリーさん。日本の与党も野党も「現状維持でいい」という点において共通している。という言葉がズシンとのしかかってきた。

2030年:すべてが「加速」する世界に備えよ

2030のイベントやる前、年末に読んだ本を読み直した。やっぱり自分は未来を悲観的には捉えていないんだなと思った。

そりゃ新たな課題もある。しかし程度の差はあれ、テクノロジーは人を豊かにしている。盲目的にユートピアを夢見ることはせず、世界の変化に気づける人でありたいと思う。

「孤独」は消せる。

天才オリィさんがOrihime開発に至るまでがわかる本。前に読んだ本では、オリィさんの思想的なところに共感した。今回の本は人間的な部分がわかって、天才が身近に感じられた。

オリィさんとは、2度イベントでご一緒させてもらったことがある。自身のビジョンに、世の中がついてきた感じがする。これからさらに、夢を実現させていくのだろう。よい刺激をもらった。

常識の1ミリ先を考える。 〜あなたの着眼点を変える15講〜

編集者の企画の立て方がよくわかる。人は理解できないものを手に取らないし、作り手はそのための努力を惜しまず企画にする。ヒットは時の運だが、そこに近づける方法はある。そんなシンプルなことがわかる。

もっと編集部に編集者の視点をいれねばならないと思っている。僕らはそんなにプロじゃない。素人の方がプロっぽく振舞おうとする世界の中で、ちゃんと素人思考を持ったプロでいないといけない。

ところで、なんか既視感があるなと思ったら、年末に読んでいた。ログをつけていないと、すぐに忘れてしまう。

すいません、ほぼ日の経営。

若い頃から影響を受けてきた人をあえてあげるなら、糸井重里さんなんだと思う。

糸井さんの言葉を積極的に仕入れているつもりはないけれど、何度となくズシンと重みのあるものを受け取っている。今回もズシンと大きなものをいただいてしまった。

とりあえず、あるべき姿を考え続けよう。世の中に貢献し続ける、その強さをクリエイティブとビジネスの両面で発揮できるように。すごく為になる内容だった。

ウチら棺桶まで永遠のランウェイ

面白かった。言葉が鳥のさえずりのようにリズミカルで、歌うように流れていく。

話している内容は多岐にわたっている。けれどベースはすごくオーソドックスで、つまるところ「我が道をつらぬけ!」と言っている。

それができたら苦労しない。

なんて声もあるかもしれない。けれど、kemioさんのように、我が道を進む我らにヨソ様をかまっている時間はない。と話す人に脚光が集まることは、とても良いことだと思う。

裏を返せば若い世代にとって、我が道を進みにくい時代ということなのかもしれない。kemioさんに元気をもらって、どんどん突き進めー!と思った。

TRANSIT(トランジット)51号 東京 江戸から未来へ時空旅行!

トラベルカルチャー系の雑誌として、高いクオリティを誇るTRANSIT。基本的に海外のネタを扱うのだと思っていたが、まさか東京を特集することになるとは。

しかもこの次の号は京都。コロナによってまだ見ぬ海外がさらに遠くになってしまったような感覚がある。

内容は国内でも、それをTRANSITが伝えれば美しくなる。それがこの雑誌の強いブランド力となっている。見習いたいことが多い雑誌だ。

ところで、前身のNEUTRALの頃から白夜書房の雑誌だったはず。それが講談社になっていた。いつの間に!?

新装版 マンガ日本の歴史4-平安遷都と密教の隆盛

歴史は現在と繋がっている部分を見つけると面白い。学校の勉強は苦手だった。時代の流れを掴むために教科書をマンガにしちゃうのはやりすぎだろか。

太古のシャーマニックなものが、最澄と空海の密教の登場で再び人々に浸透していくって流れ、すごくなるほど感あった。歴史って面白かったんだなぁ。

東京すみっこごはん

じんわり温まる話で面白かった。ほのぼの人情物語とでも言うのだろうか。

商店街の隅っこにある一軒屋、そこは料理屋ではなく集まった人たちで食事を囲む共同台所だった。物語は、客とその周辺に起こることだけで進んでいく。コミュニティ的なこういう空間、今は少なくなったのかもしれない。

オチケン!

大学の落語研究会を舞台に繰り広げられるライトミステリー。ほぼ会話のやりとりだけで展開されていき、あまり情景描写がない作品だった。

合間に落語の題目が出てくる小説は初めて。著者は福家警部補シリーズの人のようだ。

YouTube放送作家 お笑い第7世代の仕掛け術

YouTubeについてというより、放送作家さんの本だった。テレビ華やかなりし頃、人気作家さんのこういう本がたくさん出ていたと記憶している。これはその第7世代版という感じだろうか。

勢いある若手作家さんらしい自信が言葉尻から感じられた。自分がテレビを見なくなって随分経つが、ネットでテレビのコンテンツには触れている。テレビの衰退はデバイスとしての衰退。コンテンツはレガシーではないはずだ。

女の園の星 2

楽しみにしていた2巻。自習の回のなんだかわからないけど、わかる。みたいな世界は、とんでもなくクリエイティブだった。「神回」じゃないか。

はじめてのニュース・リテラシー

面白かった! 新聞やテレビの時代からネットの時代になり、情報の量も質も大きく変わった。量は増えたけども人は見たくない情報に接触しようとしない。

結果、居心地のいいコミュニティで享受される情報だけに染まる。そういう時代でなければ、トランプ政権は生まれなかったのだろう。僕らはもっと自分たちの悪魔な部分に自覚的であっていい。

メディアの編集長と事業責任者と、会社の広報を兼務している老害

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