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座布団がわからない

自宅で使っていた座椅子が壊れて処分した。その代わりになるものはまだ入手していない。背もたれがあると空間に圧迫感が出る。次は座布団でよいかなと思って、近くのホームセンターなんかをめぐってみた。

座布団は普通に売っていた。四角もあれば丸形もある。新品の座布団は笑点の座布団のようにフカフカしていて、よくみる「せんべい」ではなかった。

いくつか見た結果、これだ!という踏ん切りがつかず買えなかった。なんだかよくわからなくなってしまったのだ。

座布団を買い求めているので、目的は見失っていないのだが、座布団を探していると、何を買おうとしているのかよくわからなくなってくる。地べたと尻の間に挟む厚手の布を選んでいることに、なんだかよくわからない気持ちが押し寄せてくる。

クッションとは何かが違う。クッションはデザインと手触り・肌触りみたいなものでなんとなく決めて、なんとなく買えているのだ。

座布団にももちろんデザインのよしあしはあるし、手触りもある。中身の素材の違いもきっとある。なのに、座布団を選ぼうとすると、いったい何を買おうとしているのかわからなくなる。

地べたと尻の間の厚手の布を買い求めて、ホームセンターにやってきたことも、次は座布団だな! なんて思いつきもなんだかんだ全部滑稽に感じてくる。

座布団は朝起きると、いつの間にか床から生えていて、ごくごく自然にそこにある。くらいでちょうどいい。特に用意していないのにふいに押し入れを開けると、「せんべい」になったそれが何枚か積まれてそこにあった。くらいでちょうどいい。

そんなわけで、まだ座布団が買えていない。

メディアの編集長と事業責任者と、会社の広報を兼務している老害

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