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『消齢化社会』を読んだ

自分が手がけるメディアでもデモグラを使う。雑誌的な作りをすると、必ずといっていいほどデモグラを利用するのが一般的だろう。

年齢や性別、所得、職業、居住エリア、居住形態、家族形態など、統計情報を元にしたある特定の「人たち」を可視化する。そこへ、適切なマーケティング施策を講じる。それが広告の世界やメディアの世界では一般的なやり方だ。

とくに世代や性別で切り分けるのは、多くの業界で通じる手法だった。「だった」としたのは、体感的にも消齢化を感じることが多いからだ。

bouncyにもデモグラはあるが、数年やってみてしっくりこないと感じることが増えている。bouncyのキャッチは「未来を感じる動画メディア」だ。このメッセージに共感する人たちは世代で縛りきれない。

そんなこともあって『消齢化社会』の内容は感覚的にフィットした。マーケティングの文脈におけるデモグラにはハマりにくくなっている気がする。

一方で、脆弱なマーケッターは、このデモグラで考える思考から逸脱はできないんじゃないか。そもそもが砂上の楼閣のようなところがある情報だ。折れない骨がしっかりあるものではない。本来は参考程度に考えるべきものだが、実態以上の価値を見積もっておくと、何かと考えなくてよくなるのもまた事実。

かくして、デモグラはこれからもポジションを維持し続けると思う。消齢化は今の時代にはフィットするが、人類はコロナを経験してしまった。遠からずデモグラが意味をなすはずだ。

小学校に上がったときに型にはめる教育がほどこされなかった人たち。家庭での教育環境の格差をモロにくらったはずだ。世代的なはっきりした特徴が見えてくるのは10年後くらいだろうか。

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メディアの編集長と事業責任者と、会社の広報を兼務している老害